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デジタル資産の万が一にそなえていますか?

朝晩がすこし肌寒かったり、日中は汗ばんだりする季節になりました。
福山ではばら祭りが開催され、ばらもきれいに咲き誇っていましたね!

さて、今日は「デジタル資産」のお話です。
みなさんは、「デジタル資産」と聞いて、なにを思い浮かべますか?

●デジタル資産とは

  • 銀行のWEB通帳・口座
  • ネット証券口座や投資関連アプリ
  • 仮想通貨/暗号資産
  • パソコン上のデータ
  • スマートフォン内の個人情報
  • SNSアカウント
  • 有料サービスの定額利用(サブスクリプションサービス)

上記のとおり、様々なものがデジタル資産とされています。
最近では証券口座が不正にアクセスされ、多額の株が購入されてしまうという事件が多数発生しています。

「スマートフォン内の個人情報(アドレス帳、写真、動画)」
 男女ともに幅広い年代の人が保有しており、特に40代では、男女ともに50%を超えています。

銀行のWeb口座やネット証券、仮想通貨などのオンライン上の金融資産
 比較的女性よりも男性のほうが保有率が高い傾向にあるようです。

●証券口座不正アクセスの手口

以前から証券会社のフィッシングサイト(偽サイト)は確認されていましたが、主な目的は個人情報の転売と見られていました。
しかし、最近は口座乗っ取りで特定の個別株を大量に購入する新たな手口
悪用者は株価をつり上げたところであらかじめ保有する株を売却し、利益を得ていると見られています。

きっかけは…

新NISA(少額投資非課税制度)によってネット証券口座を開設する人が急増しているのも狙われやすくなったきっかけになっているかもしれません。
操作に慣れていなかったり、購入後に口座を放置してしまったりすると、フィッシングメールなどに驚き、だまされてしまうケースがあるということです。

フィッシングサイトの流入経路

フィッシングサイトの流入経路はSMSかフィッシングメールの2つ。
「このままだとロスカット(強制決済)に」などとユーザーの不安をあおり、ログインするように仕向けています。
URLをクリックすると本物そっくりの証券サイトのログイン画面が表示され、IDやパスワードなどを入力してしまうと、情報が盗み取られる仕組みだそうです。

最近ではIDとパスワードのみならず、SMSなどで送られた認証パスコードを使った2段階認証まで突破する「リアルタイムフィッシング」詐欺も横行しているとか

その流れとしては…
ユーザーがフィッシングサイトにIDやパスワードを入力

「確認中」「Loading」といった画面が表示(待機中のユーザーは、本物のサイトにログインしたものと勘違い)

その間に悪用者は盗んだ情報を基に本物のサイトにログイン

2段階認証に必要な認証パスコードがユーザーのSMSやメールに送信される

ユーザーがフィッシングサイトに入力すると、悪用者はそれを盗み、2段階認証を突破

本当に巧妙にできています。

●不正アクセスへの対策

証券口座乗っ取りは複数の詐欺グループによる「分業」で実現していると見られています。
そのため、犯人の特定は難しいのが実情です。

日本証券業協会は証券各社に多要素認証の設定を必須にするよう呼びかけています。
ですが、いつから必須とするかは個社の判断に委ねられているため、ユーザーは証券会社に頼るのみならず、自分でも対策を講じる必要があります

自分でできる対策とは

  • フィッシングサイトの流入経路であるSMSやメールに記載されたURLは基本的に開かない
  • 本物の公式サイトをブックマークしておく
  • 公式アプリからサイトにアクセスし、お知らせ欄で情報を確認する

といった行動を心がけるのが、フィッシングサイトにひっかからない方法です。

地震などの防災対策はしっかりされている人は多くなっていますが、デジタル資産の防災対策をしている人は20%にも満たないと言われています
顧客の落ち度によって、補償に差が出る事例もあるようなので、早めの対策をして万が一の対策に備えましょう。

●デジタル遺産・デジタル遺品

 さて、「遺産」と聞くと、土地・建物などの不動産や宝石、預貯金通帳などをイメージする人が多いと思います
しかし、様々な場面でデジタル化が進む現代においては、故人がデジタル形式で保管していた財産も遺産に含まれます。

デジタル遺産は以下の通りに分けられます。
 ◎一般的に金銭に関する財産
 ◎そうではない財産

金銭に関する財産

ネット銀行やネット証券の口座、FX、仮想通貨といった金融資産、電子マネーの利用残高や商品を購入できる各種ポイント、マイレージのほか、デジタルの著作物(著作権)も含まれる

金銭に関しない財産

デジタル遺品と呼ばれ、デジタル機器本体やインターネット上に保存された情報など。
例えば、スマートフォンに保存された写真や動画、インターネット上に保存された各種クラウドデータ、SNSサービスのアカウント、連絡先、個人ブログの情報など


ここでは、相続や贈与に係るデジタル遺産の取り扱いについて説明します。

●デジタル遺産への対策も忘れずに

本人にしかわからない…!

デジタル遺産は、デジタル上にあり、本人にしかわからない情報で管理されているため、相続人がその存在に気づかないことも想定されます
また、その存在を認識していた場合でも、インターネット上のアカウントは、本人が設定したIDやパスワードなどで保護されており、IDやパスワードがわからない場合はアクセスすることができません。
顔認証や指紋認証、2段階認証といった複雑な設定をされている場合も同様です。

さらに、故人が音楽や動画、オンラインサロンなどの有料サービスを定額利用(サブスクリプション)契約していた場合は解約されないまま課金が継続されるため、注意が必要です。
デジタル遺産の相続時においては、名義変更や解約など、オンライン上で手続きを完結しなければならないケースが多く、相続人に相応のITリテラシーが求められます

相続人が気付かなかったら…

相続人がデジタル遺産に気づかず、相続手続きを済ませてしまった場合、事後に遺産分割協議のやり直しや期限後申告、修正申告となり、相続トラブルに発展するケースもあり得ます。

きちんと生前整理を

デジタル遺産を所有している人は、相続人がその存在を把握できるよう、生前整理をしておくことが大切です。
エンディングノートやスマートフォンなどで入力できる終活アプリに、デジタル遺産の内容やアクセス方法、処分方法を記録し、家族と共有しておくことをお薦めします
相続手続きまでを念頭に置くと、デジタル遺産は遺言書の形で残すことが望ましいです。
また、第三者によるアカウントの乗っ取りやなりすましを防ぐためにも、死後委任契約などで代理人に管理を依頼する方法もあります。

●便利な世の中、落とし穴がある?

このように、デジタルで管理できるものが増えてきていますが、その分詐欺集団に狙われやすくなったり、相続で困ったり、ということが起き得ます。
自分のためにも、遺された人のためにも、対策は早めに必ずしておきましょう!!